Blackbox Blast
← 事故ログへ

週刊・論点

世界のAIの論点

AIの事故や暴走に、社会はどう備えようとしているか。政策・規制・安全研究の議論を、出典の主張と論拠のまま紹介します。Blackbox Blast の立場は書きません。

2026-W41

1件

規制English

EU AI法は、危険なAIモデルが出たときに素早く止められるか

AI Policy Bulletin · Eliška Andrš(Future of Life Institute)

主張
Future of Life Instituteの政策研究者Eliška Andršは、EU AI法は安全の基準と欧州委員会の介入の条件を明確に定めた点で評価できるとしたうえで、委員会は危険なモデルに素早く対応できるよう、今から備えるべきだと主張する。
論拠
筆者は、6月にAnthropicの新モデル2つが、米国政府が出したと報じられた緊急の輸出規制命令に従って、一時的に提供を止めた件を例に挙げる。EU AI法には、汎用AIモデルの提供者に評価・リスク対策・重大インシデントの報告を課し、最後の手段として市場から外せる仕組みがある。2026年7月の実施規則で緊急時の暫定措置も認められ、緊急の場合は、提供者の意見を事前に聞かずに措置を取ることもできる。ただし、その力を実際に使うには、地政学や経済の圧力に負けずに動く意思と、リスクを素早く見抜ける評価者の層の厚さが要る、というのが筆者の論拠だ。
運用者にとって
使っているモデルが、規制当局の判断で突然その地域で使えなくなることがありうる。モデルを1つに頼る運用は、止まったときの代わりを先に決めておく必要がある。